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『ヴィクトリア女王 世紀の愛』 主演 エミリー・ブラント&ルパート・フレンド Interview

19世紀、イギリスを「太陽の沈まぬ国」と呼ばれる最強国家に導いたヴィクトリア。『ヴィクトリア女王 世紀の愛』は、国と、愛する人に人生を捧げた美しき女王の、知られざる真実の物語を描いた作品です。今回、ヴィクトリア女王に扮した『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラント、そしてアルバート王子に扮した『プライドと偏見』のルパート・フレンドのおふたりに直撃インタビューをしました。

エミリー・ブラント インタビュー

エミリー・ブラント
(プロフィール)
1983年イギリス、ロンドン生まれ。高校時代に演技をはじめ、舞台やBBCの番組などに出演。映画『My Summer of Love(未)』(04)で高い評価を受け、メリル・ストリープが演じる編集長のアシスタント、エミリーを演じた『プラダを着た悪魔』(06)で英国アカデミー賞およびゴールデン・グローブ賞にノミネートされる。その他の出演作に『ジェイン・オースティンの読書会』(07)、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(07)、『サンシャイン・クリーニング』(08)など。次回作は来年GW日本公開の『ウルフマン』(10)。現在はマット・デイモン主演のSFロマンス映画『The Adjustment Bureau』を撮影中。

Q:この役は、絶対にやりたいと自分から熱心に売り込んだそうですね。

── そうよ。それは、私にとってすごく稀なことなの。でも、このキャラクタ−自体が、とても稀なんだもの。脚本もすばらしかった。ひとりの若い女性が、とても身近な視点から描かれていた。ここに出てくるのは、女王ではなく、少女、そして若い女性。だから私は強い共感を覚えたの。ヴィクトリアは、反抗心も、遊び心もある人だったの。熱烈な恋愛もした。でも、誰も彼女のそんな部分を知らない。私も知らなかったわ。私が知っていたのは、もっと年を取ってからのヴィクトリア女王。落ち着いていて、口数が少なくて、死んだ夫の喪に服しているイメージしかなかった。だから、「Young Victoria」(原題)なんていうタイトルの脚本があると聞いた時に、好奇心を覚えたのよ。

Q:ヴィクトリア女王といえば、あなたの国イギリスでは特に、誰もが知っている有名な歴史上の人物です。そんな女性を演じるに当たっては、大きなプレッシャーを感じたのでは?

── ええ、強い責任を感じたわ。彼女についてずいぶんリサーチをして、彼女のことをよく知るようになるにつれて、彼女を正しく表現しなければという思いが一層強くなったの。とは言っても、プレッシャーや責任は、他の役の時だって、いつも感じるわ。その一方で、今回も、他の役をやる時のようにある程度の自由もちゃんとあった。

Q:どんなリサーチをしたのですか?

── 彼女の伝記はもちろん、彼女がアルバートに宛てて書いた手紙や、彼女の日記を読んだわ。特に参考になったのは日記。彼女は、その日何をしたかだけではなく、自分がどう感じたかを詳細に書き残しているの。

Q:アルバートを演じるルパート・フレンドと、スクリーン上でとてもいい相性を見せていますね。あなたのほうが先にキャストされたと聞いていますが、彼が選ばれる過程にはあなたも関わりましたか?

── 何人もの男優を相手に、シーンをやってみたわ。ルパートは最後に現れたのだけど、飛び抜けていた。彼がオーディションをやっている時に、室内の雰囲気が明らかに変わったのが感じ取れたほどよ。みんなが、彼こそぴったりだ、と思ったの。ルパートには、静かに秘めた自信がある。それに地に足が着いている。それこそ、アルバートに必要な素質なの。あまりにも彼が完璧だから、私は「今すぐ彼に役をオファーすべきよ」と言ったわ。そして、本当にそうなったの。

Q:あなたはこれまで『プラダを着た悪魔』や『サンシャイン・クリーニング』など、現代女性を演じて評価されてきましたが、コルセットをつけて女王様のドレスを着るのは、どんな気分でしたか?

── コルセットはすごく窮屈で辛かったわ(笑)。でも、役のためには良かった。コルセットをはずした時に「ああ、やっと解放された!」とほっとしない女性なんて、いないと思うわ。ヴィクトリアもそうだったはず。それに、コルセットをつけていると座り方も変わるし、なんだか高貴な気分になるの。あの衣装をつけるのには、すごく時間がかかった。ヘアスタイルもね。ヘア、メイクに2時間、衣装に最低30分を毎日費やしたわ。

Q:あなた自身の普段のスタイルは? 最近も、ニューヨークファッションウィークで目撃されていたところを見ると、ファッションは大好きみたいですよね。

── ファッションは好きよ。ファッションショーにはそれほど頻繁には行かないけれど、服を通じて自分の個性を表現するのは大事なことだと思う。自分らしさがあれば、たとえジーンズとTシャツというシンプルな服装だって、違ってくるわ。毎日「今日はどんな服装をしようかしら」と必死で考える我慢強さも、時間も、私にはないけれどね。だから失敗もよくやるわよ(笑)。普段の私のファッションは、都会風シックとでも言えばいいのかな。デニムは好き。最近はブルーデニムじゃなくて、グレーのデニムにはまっている。

Q:好きなデニムのブランドは?

── Jブランドとハドソンね。

Q:『プラダを着た悪魔』で、カリスマ衣装デザイナーのパトリシア・フィールドとお仕事をされましたが、彼女から影響は得ましたか?

── ええ、すごく影響された。彼女はとても勇気のある人だもの。ファッションに勇気は大事なのよ。私が私服で衣装部屋に入って行くたびに、きっと彼女に「ああ、またつまらない恰好をして」と思われているのはわかっていた(笑)。実際に「その服装、退屈よ」と言われたこともあるわ(笑)。彼女から学んだのは、恐れずに、自分のやりたいことをやること。流行を追いかけることに興味はない。だって、すべての流行が自分に似合うわけじゃないのだから。

Q:ワークアウトはしていますか?あなたはスリムですが、ハリウッドにいることで、痩せていなければいけないというプレッシャーは感じますか?

── そのプレッシャーを感じるか感じないかは、自分の選択だと思う。私は感じないようにしているわ。ワークアウトは普段からしている。運動をした時に得られるフィーリングが好きだから。ハッピーになれるし、エネルギーを得られるもの。でも、こういうルックスでありたい、という執着はしないようにしているの。食べる物に関しても、ものすごく厳しくしたりはしないわ。そうなってしまうと、できないことが増えてしまうし、そんなの退屈。

Q:ダイエットに必死になると、レストランでの食事も楽しめませんよね。

── そうよ! 私はレストランで食事するのは何より好きなの。今現在は、次に出る映画でバレリーナを演じるために猛烈なレッスンをしていて、食事も制限しているけれどね。そのせいでたぶん私は今、異常にヘルシーな状態(笑)。でも撮影が終わったら元に戻るわよ。今からピザを食べるのが待ちきれないわ!

ルパート・フレンド インタビュー

ルパート・フレンド
(プロフィール)
1981年、イギリス、オックスフォードシャイア生まれ。ウェッバー・ダグラス演劇アカデミーで演技を学ぶ。映画デビューはジョニー・デップ主演作『リバティーン』(04)。同作品でブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードの「将来が期待される新人」賞に輝く。ほかの出演作にキーラ・ナイトレイ主演の『プライドと偏見』(05)、『縞模様のパジャマの少年』(08)、『Cheri(未)』(09)など。

Q:『ヴィクトリア女王 世紀の愛』に惹かれたいちばんの理由は、何でしたか?

── 僕がこれまでに読んだ、最も感動的なラブストーリーだったからだよ。最高に情熱的で、最高に献身的。自分勝手さがみじんもない関係だ。しかも、つくりごとの関係ではない。実際に、あのふたりは、僕らがみんな直面するような障害や問題にも遭遇し、乗りこえる。カップル内での力関係とかね。

Q:アルバート王子については、以前からよく知っていたのですか?

── いや、何も知らなかった。だからリサーチをたっぷりしなくてはいけなかったよ。この映画を見て、ほかの人たちももっと彼のことを知ってくれるとうれしい。彼は、本当に興味深い人物だから。

Q:アルバートを演じる上で、何がいちばんのチャレンジでしたか?

── 彼はとてつもなくいい人なんだ。僕は、あんなにナイスな人を演じたことはない。そういういい人を演じる上で難しいのは、いい人すぎて鼻につくような演じ方をしないこと。正直さが伝わるようにすることだ。

Q:アルバートとヴィクトリアは、カップル内の力関係で葛藤を経験します。ヴィクトリアはイギリスの女王ですから、妻のほうが明らかに力があるわけですが、あなたは、女性のほうがパワーをもつという関係に耐えられると思いますか?

── それは、パワーというものをどう定義するかにもよるんじゃないかな。それに、このふたりの場合はかなり特殊だよね。ヴィクトリアは女王。いや、女帝と言ったほうがいい立場だ。でも、僕は、パワーよりも愛のほうがずっと大事だと思う。

Q:今回の監督ジャン=マルク・ヴァレは、カナダ人です。彼のような人がイギリスの歴史についての映画を撮るということを、イギリス人のあなたはどう感じますか?

── この物語は、イギリスとドイツの話なんだ。アルバートもドイツ人だし、ドイツ人のキャラクタ−は他にも多く登場する。ジャン=マルクはフレンチカナディアンだから、新鮮な視点からイギリスの歴史のこの部分を見つめたと思う。堅苦しくない、若々しいスタイルで描いてくれたと思うよ。

Q:あなた自身、最近、短編『The Counting and Lamentable Saga of the Suicide Brothers』の脚本を書いてプロデュースをしましたね。前から演技以外のこともやってみたかったのですか?

── 普段から脚本をたくさん書いているというわけではないんだ。あれは、前から俳優仲間と話し合ってきたアイディアで、一度舞台にしてみて、後に映画の脚本にしてみた。関わった人たちは、みんなノーギャラで受けてくれたんだよ。それでもみんな、とても一生懸命仕事してくれた。それは映画に表れている。

Q:あなたの恋人キーラ・ナイトレイも出てくれましたよね? 恋人と仕事をした気分は?

── 彼女は才能のある女優だから出てもらったんだよ。僕らが一緒に演技をするシーンはひとつもないんだけど、彼女はすばらしいパフォーマンスをしてくれた。

Q:あなたたちは日常パパラッチに追いかけられていますが、どう対処していますか?

── プライベートな部分に入り込んで来ない限り、僕らの仕事の一部だからしょうがないと思っている。だけど、プライベートとの境界線は、守って欲しいよ。

Q:仕事をしていない時は、どんなことをして時間を過ごしますか?

── 旅行だね。知らないところに行って、新しい人たちに会うのが好きなんだ。最近はバリに行ったよ。釣れた魚をその場で焼いてくれる市場のレストランで食事をして、とても楽しかった。

Q:日本に行ったことはありますか?

── まだないんだ。僕の叔母のひとりは日本人なんだけどね。もちろん、僕と血はつながっていないけれど。それに村上春樹も好き。「ねじまき鳥クロニクル」を読んで、すごく気に入ったよ。

『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

世界中が憧れる“理想のカップル”、ヴィクトリア女王とアルバート公。ふたりの愛を育てたのは、知られざる幾多の波乱だった──。イギリスを最強の国家に導いた女王の、愛と真実の物語。豪華な衣装とジュエリーも必見です。/製作:マーティン・スコセッシ 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:エミリー・ブラント、ルパート・フレンド、ポール・ベタニー、ミランダ・リチャードソン、ジム・ブロードベントほか。12月26日(土)Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズシャンテほかにて全国順次ロードショー。

( 取材・文/猿渡由紀)